山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

PKD『怒りの神』


ディックとロジャー・セラズニイの共作。
セラズニイが嫌いなわけではないが、あまりにもちぐはぐだ。セラズニイが描く世界はリリカルに高揚していく世界で、ディックの持ち味は陰鬱として神経をチクチク、カサカサさせる世界。それが補完し合ってすばらしいものになればいいのだけれど、この作品では、殺し合っているわけではないけれど、ちぐはぐなままに終わってしまう。
持ち味を融合させることはできたけれど、それは生きなかったのね。
というわけで失敗作でしょう。
失敗作は失敗作なりに魅力があるけれど、ディック好きとしてはセラズニイの介入がちょいと我慢できなかったりする。
いちおうこれで予定していたものはすべて読んだ。
つまり『暗闇のスキャナー』以後と、普通小説はそもそも再読する予定はなかったので。
次回、自分なりのランキングを発表することにします。