山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

PKD『いたずらの問題』


以前、「何でもいいからディックの小説をひとつ映画化してもいいってなったら何にするか」なんてことを考えたさいに、私は『いたずらの問題』がいいかも、と思ったことがある。
書かれたのは1956年。ディックのごく初期の長編だ。
ユーモアの許されない、硬直した道徳による相互監視社会。『1984年』みたいなディストピアものです。
私はこれを、モンゴル系民族の国家を想定して映画にしたらおもしろいと思う。ま、誰もが北朝鮮を連想するだろうけれど、それが韓国であっても日本であってもおかしくないような、そんな架空の設定にしたらいいと思ったのだった。
「ここどこ、私は何してるの」あり、SFギミックあり。主人公の記憶喪失がほどほどに最後までサスペンスをひっぱっている。珍しく前向きなラストなのも意表をつかれていていい。
あまり有名な作品ではないけれど、私的ランキングではベスト10に入ります。
ああ、そしてディック再読も残るところ『虚空の眼』だけになってしまいました。
というのは、最初から『暗闇のスキャナー』よりあとは除外。SFでない普通小説(死後出版された)も除外。短編や共作も除外。ということにしていたので。
『虚空の眼』を読み終わったら、私的ベスト10のランキングを発表します。