山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

風ノ旅ビト(PS3)


3月15日にリリースされたダウンロード専用ゲーム。
いきなり各種ゲームレビューで大絶賛だったので、1200円ということもあって「単行本を1冊買う」つもりでダウンロード。プレイしてみました。
せいぜい2時間ほどでプレイできるゲーム。
なのに自分の記事がこんなに遅れたのは、じつは、感動しちゃったからなのですワ。
感動してしまったまま感想を書いて、あとで恥をかきたくなかったので、まるで魔法弾を放ったあとの冷却時間みたいなもので、しばらく放置したわけ。
で、一ヶ月経ったわけだけれど、やはりこのゲームは「絶賛」でよろしいかと思います。

戦闘はいっさいない。(襲ってくるものはあるが、ふっとばされるだけで「死亡」はないので)
ゲームの冒頭で主人公は砂漠に放り出され、はるか向こうに意味ありげな山が見えている。そこをひらすら目指して進むだけのゲーム。
ステージは6つぐらいあり、ステージクリアするため、パズルとは言えないほどの順番である操作をするだけ。難度は低い。
プレイヤーの目的は示されない。つまり、ストーリーはない。ただ、進むだけ。
進めていると、もうひとり、同行者が現れる。これが、じつは世界のどこかで、同時にこのゲームをプレイしている人なのだ。けれども、協力プレイが要求されるわけではないし、言語によるコミュニケーションができるわけでもない。
ただひらすら「同行」するだけ。
だから自分は初回のプレイで「ああ、これはあれだ。五体倒地しながらの聖地巡礼みたいなもんだな」と思った。
これで納得できた人は、もう追加の説明は必要ないだろう。

だから、目的地に到着し、主人公が雪のなかに力尽きたように倒れ伏したとき、なんと自分もコントローラーを手にしたまま、ふと力が抜けてしまって、そばに丸めてあった蒲団にばたりと倒れてしまった。おそるべし、インタラクティブ性。そこまでゲームの主人公と自分とが一体化してたのだ。
ゲームはそこで終わりではなく。まるで昇天するかのごとく、空高く舞い上がる。飛翔する。
コントローラーを握って倒れたまま、その画面を横目で見つめつつ、なんとも言えないカタルシスを感じていた。おお、ベータエンドルフィンが脳内でドクドクと…。
一ヶ月経ったから言えるけど、通常のゲームのような巨大ボス敵を必死で倒した時のカタルシスが「エロス的カタルシス」だとしたら、こちらは「タナトスカタルシス」と言えるだろう。そういうものがゲームで実現できるとは思ってもみなかったので、けっこう衝撃は深かった。

これが一回目。だいたい3時間で終わった。
道順などを覚えているので、2回目は2時間、3回目は1時間半で回れた。2回目3回目はもう1回目のようなカタルシスはなく「同行者」との戯れに面白さを見出すことになる。
まあ、そういうゲームでした。ちなみに原題は「JOURNEY」。アメリカ製。東洋思想っぽさがあるのでサンフランシスコかな、と思ったが、サンタモニカスタジオとか出てくるからロサンゼルスか。