山崎幹夫の各種センサー

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『オブリビオン』その4(PS3)


プレイ時間は130時間。そろそろホントに終わりにします。(メインストーリーもクリアしたのですが、このゲーム、ほんと盛りだくさんで、まだまだやることが残っているので、どこかで見切りをつけないときりがない)

ベトナムとか広島長崎とか東京大空襲とか
いや、そんあこと連想したのは、やはりアメリカのゲームだからなわけでして、モンスターだけでなく山賊とか野盗をブチ殺すわけですよ。そういうのって、ちょっと抵抗ありますわな。最初(その1)に書いた「殺してみたら女だった」という以前に、やはり、人間を殺すのはなにか釈然としないものがあるわけで。
でもって、たとえば町で人を話をするのに、ちょっと操作をミスるとそこらへんにあるものを「窃盗した」ということになってしまって、そうするとすぐに衛兵が現れて罰を受けるわけです。
んー。わからないことはないし、そもそもドラクエで人の家のタンスを勝手に開けて、中身をちょうだいするのがヘンだということはさんざんネタにされてきたわけだし。
しかしふと、これを「ああ、こんな感覚で、ベトナムの民間人を殺したり、広島長崎に原爆落としたり、東京を丸ごと焼き払ったりしたのかな」と考えると……。
ちと鬱になる。

●友情とか連帯とかベタベタしてないのはいいけど
そう。日本製RPGって、すぐに仲間をパーティーをつくって、そこで友情物語が始まるわけですよ。あるいは世界の破壊に直面して、思想信条のちがいを乗り越えての美しき連帯とかね。
そういうベタベタ感って嫌いでした。ふだんはニコニコしているジャムおじさんが(あ、これはアンパンマンの話ね)、世界の危機に直面すると、とたんに目尻をつり上げて「他人のために自己犠牲することの美学」を説いたりする特攻隊美学……。
この『オブリビオン』にはいっさいそういうことありません。物足りないほどにハートフルな要素がありません。
たまーに主人公はパーティーを組むこともあるけれど、基本はひとり。名声を高めてもいいし、盗賊したり、暗殺団に入ったりして悪名を高めてもいい。ベタベタがないどころか、おもいきりドライなゲームです。

●引っ越ししたときの「心細さの快楽」
このゲーム、最初に1時間ぐらいかかるキャラメイクと操作覚えのための部分を過ぎると、いきなり放り出されます。
「次はこれ、それ次にこれ」と暑苦しいほど親切に導いてくれる日本製RPGとの違いがここにもあって、出現する敵のレベルは主人公のレベルに応じて変化するので、どこにでも行けます。
でも装備も名声(実績)もプレイヤーのスキルもしょぼいものだから、そして親切な人などあまりいないので、とても心細い状態に追い込まれます。
途方に暮れたりします。
追い打ちのように雨が降ってきたりします。
でも、130時間プレイした今になってみると、そのときの心細さがかえってなつかしくもあるわけでして。
これって、引っ越しした当初に似ているかも。
あまりなじみのない町にとりあえず越してきて、まだ勝手のわからない、不安で心細い感じ。それってじつは、あとになって惰性で飽き飽きしてくる頃に、なつかしく思い出すんですよね。そんな感触がこのゲームの初期にはあります。