山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

8ミリフィルム映画祭2009年秋@neoneo坐

上映ラインナップ出そろいました。日程が前に発表したのと少々変更されています。今回も濃い作品群です。いずれも一回上映なのが心苦しいのですが、どうぞ見に来てくださいね。

10月31日(土)
15時~
プログラムタイトル「藤原章 青春回顧録その1」
藤原章『超人』                  1982年/15分/DV上映/シネスコ
藤原章『善悪混乱時代』          1982年/5分/Single8+Super8/シネスコ
藤原章『くたばっちゃいけねえ!』1983年/2分/Single8/シネスコ
藤原章『プールサイド』          1983年/ 5分/Single8/シネスコ
藤原章『ある青年の死』          1983年/ 4分/Single8/シネスコ
藤原章『昆虫観察日記』         1983年/ 13分/Single8/シネスコ
藤原章『米屋』                  1988年/30分/Super8
藤原章『人糞作戦・予告編』      1986年/1分/Single8

短編ばかり7本と予告編。予告編は5時の回につなげるためです。中学生のころから功夫映画(カンフー、カラテ映画)ばかり模倣し、気がついたら30年が経ちました。最新作『ダンプねえちゃんとホルモン大王』(12月公開)の原石となる場面が、子供のときに作った映画にもたくさん散らばっています。『超人』は高校3年生の作品。見せ場に登場するのはゲシュタポマンという宇宙人だけど、それを演じたのは同級生の藤延寛くん。すでに26歳で死んでます。その一方で孫を授かった同輩もいる。ぼくには映画で繰り返し描き続けてるものがあります。無意味な特訓・理不尽な復讐・人をくった結末…。人をくったで思い出したのですが、90年代に撮った『神様の愛い奴』に夢の2ショットがあります。人を食った佐川一政さんと、そんな人を個人で断罪した奥崎謙三さんです。役どころはオカマバーのママと新人ホステス。(藤原章)

17時~
プログラムタイトル「藤原章 青春回顧録その2」
藤原章『 人糞作戦』       1986年/65分/Super8
藤原章『 謎のインド人』     1986年/10分/Single8

『人糞作戦』は初めての長編作です。シナリオもなく、紙切れ1枚に簡単な粗筋を書いて撮り始めた。何を書いたか細かく覚えてませんが(暴れる、走る、壊す)だったと記憶してます。おかげで完成するのに1年かかった。台本通りに作れたのは最新作『ダンプねえちゃんとホルモン大王』(12月公開)が初めてです。『人糞作戦』上映では雑誌に情報を載せてもらいました。連絡先を自宅にすると、年配のご婦人から問合せがきた。
「『人糞作戦』というのは…何か政治的な運動を描かれてるのでしょうか?」
「いえ、こちら青春映画なもんで!」
ご婦人は続けて「わたし先日『田中正造の最後の戦い』という映画を観たのです。田中先生の思想には共鳴されます?」田中先生に縁は無かったけれど、頭山満の曾孫は僕の映画の常連役者になりました。思想を口にせず、クリント・イーストウッドのファンです。(藤原章)

19時~
プログラムタイトル「藤原章 青春回顧録その3」
布施ゆき『鬼首伝説』(格闘場面:藤原章)1992年/35分/Single8/シネスコ 
藤原章『 ドキュメント人糞』   1986年/35分/Single8
藤原章『 米屋 裏話』       1988年/10分/Single8

『鬼首伝説』は監督作品ではありませんが、格闘場面と仕上げを受け持ちました。監督はぼくの家内です。3年前に子供を授かり、産まれたら直ぐに捨て子のシーンを撮りました。2007年の『ヒミコさん』で教会に捨てられる赤ん坊が娘です。最新作『ダンプねえちゃんとホルモン大王』(12月公開)でも、米軍の戦闘機のミサイル攻撃に脅える役を堂々と演じました。さて『鬼首伝説』ですが、見せ場でゲシュタポマンが再登場します。3時の回で上映する『超人』の藤延くんは死んでる。2代目ゲシュタポマンを井口昇さんに引き継いでもらいました。井口さんは今をときめく売れっ子監督ですが、このとき23歳です。10年後の33歳のときも『ラッパー慕情』(2004年)で悪役を演じてもらった。そんな彼も先日40歳になりました。今回は井口監督の人気に便乗させてもらっての上映です。(藤原章)

11月1日(日)
15時~
プログラムタイトル「山崎幹夫せつな系短編集」
山崎幹夫『泥のなかで生まれた』1986年/17分
山崎幹夫VMの漂流』1990年/9分
山崎幹夫『破壊市を探して』1992年/15分
山崎幹夫『夢のライオン』1996年/14分
山崎幹夫『夜にチャチャチャ』1999年/14分
山崎幹夫『あいたい』2002年/11分
山崎幹夫『遠くへ』2003年/16分

2009年春のプログラムでは山崎幹夫のアッパー系短編作品を集めてみた。そこでこんどはダウナーな作品、とりわけ「叙情系」とでも「せつない気持ち系」とでも形容できそうな気分に満ちた作品。気持ちの濡れは、どういうわけか8ミリフィルムのにごり、にじみ、ふるえとよくシンクロする。

17時~
プログラムタイトル「星と風と宝石」
石井秀人『ひとつの星』2000年/10分
大川戸洋介『風のページェントpart IV』1993年/39分
緑川珠見『ガーネット』1996年/32分

野原に花が咲いていて、その何の変哲もない花がひどく心にしみる。ごうごうと風は強く、しかし日射しはおだやかであたりは他に何もなく静寂感に満ちている。そうして作者はふと、8ミリカメラを廻す。祈り続けるかのような石井作品、どこかユーモラスな大川戸作品、物語でも個人映画でもない場所を探り続ける緑川作品と、あらわれかたは異なっても、これらは8ミリフィルムでしか到達できない映画の秘境を開拓した作品だ。


19時~
プログラムタイトル「夜・路地・徘徊…」
山崎幹夫『こぼれる黄金の月』2002年/9分
山崎幹夫青果店裏の路地』2006年/8分
山崎幹夫『夜の心』2007年/14分
出射広海『ヨルノキモチ』2007年/13分
大西健児『路地提灯』2009年/22分(新作初公開)

夜だったり昼だったり、路地だったり郊外の荒漠とした町並みだったり、しかしこれらに共通するのは「徘徊する快楽」だろう。包み込む街の感触に身をゆだね、時間と記憶が溶けていく愉悦にひたる時間。そこに8ミリカメラがこっそりと持ち込まれ、そんなアイマイな気分を記録した作品群。

11月3日(祝)
15時~
プログラムタイトル「関根博之映像個展」
関根博之『U・O』1992年/22分
関根博之『U・O2』1993年/30分
関根博之『U・O3』1993年/35分

関根博之の廃墟映画の代表作のひとつ「U・O」シリーズは、府中にあった自衛隊の通信基地廃墟をじっくりと撮った連作シリーズ。ぜんぶで5作あるが、その最初から3作までを上映します。巨大なパラボラアンテナ。すべてを緑に覆わんとはびこる植物。屋根の落ちた建物。そのなかで増殖していく奇妙なオブジェ。関根カメラはいつものように廃墟内を遊泳してまわります。なお「3→2→1」の順での上映になります。

17時~
プログラムタイトル「猫となまけもの」
山崎幹夫『トラタくんはゆく!』1977年/10分(初一般公開)
山田勇男『夜窓』1978年/25分
宮田靖子『おお、麗しのcat-land』1979年/3分
宮田靖子『人が通る、猫が通る』1980年/3分
宮田靖子『家庭画報』1986年/3分
内村茂太『べっぷ・たまがわ』2002年/40分

8ミリと猫はなぜこんなにも相性がいいのだろう。内村家のチャコ、宮田・福間家のジョリ、山崎家のトラタに加えて「そういえばあれがあったじゃないか」と思い出した山田勇男作品『夜窓』のプログラミングで「猫となまけもの」ざんまいといきましょう。

19時~
クロージングパーティー&こっそり内村茂太のオールナイトニッポン公開生放送