山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

デビル雅美と山崎五紀@LLPW2008.8.10後楽園ホール


女子プロレスの楽しみかたのひとつには、セコンドの若手あるいは練習生ウォッチというのがある。ヲタク的な楽しみかただけれど、隠しようもなく、歴然とあるものだから、昨年のneoneo坐での女子プロレス講座でも2試合費やして解説したものだ。
で、1980年代の前半、中島体育センター@札幌にて、全日本女子プロレスの興行を見にいった私は、リング下の若い女子レスラーに目を奪われた。
時に、全日本女子プロレスジャガー横田(善玉)とデビル雅美(悪玉)の時代。まだクラッシュギャルズは結成されていないので、客は男性が大半だった。
当時のデビル雅美の見せ場は、紫色に彩色された木刀を振り回しての狂乱ファイト。しかし、それはタイミングが重要なわけでして、ここぞというところで、デビル雅美が狂乱ファイト開始の見栄を切り、そこにセコンドのデビル軍団所属の若手が、タイミングよく木刀を投げ入れる、という定番があった。
しかしプロレスは演劇ではないから、どのタイミングで木刀をうまいぐあいに投げ入れればいいかは、その日によって異なる。
だから「木刀投げ入れ係」の若手レスラーは、木刀を胸にかき抱き、タイミングを絶対にはずすまいという緊張感をもって、リングサイドを走り回ることになる。
そのとき、その役目をしていたのが山崎五紀だった。
その時点ではデビル軍団の一員だったが、長い黒髪に細身の身体。じっさい、ヒール(悪者)ではなく、テクニシャンとして売り出された彼女に、私は惹かれた。
そのひたむきさがリング上を支える。
木刀を投げ入れる一瞬のタイミングを絶対にはずさんとする意志で、木刀を握りしめて走り回る姿は、
いい。とてもいい。
そんな山崎五紀が、いまはニューヨーク在住(永住権取得済)。もはやリング上で闘う姿は見られないかと思っていたけれど、うれしいことに期間限定カムバックしてくれました。3人の子育てを終えて、10数年ぶりのリング。
もちろん、なつメロしか奏でることはできないけれど、紫の木刀を持ってリングサイドを右往左往していた少女レスラーを、またレスラーとしての姿で見えることを感謝したい気持ちになった。
できることなら、山崎五紀にこそ「おばさんプロレスの華」を描いてもらいたい。