山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

タノムサク鳥羽vs野沢洋之(ハードヒット2008.3.16)


ハードヒットとは、かつて大いに盛り上がったことがあるUWFスタイルのプロレスを、いままたやってみようというコンセプトの興行。
UWFスタイルとは、プロレスと格闘技の中間を狙ったプロレスの新しいスタイルとおおざっぱに定義することができるだろう。
UWFが旗揚げして最初の興行は、1984年4月、大宮スケートリンクにて行なわれた。私、行ってます。私にとって好都合だったのは、北海道大学をなんとか卒業して、4月から東京に戻ってきていたということ。これはもう、UWFを追いかけるしかない! と思ったわけではなかったけれど、このあと、プロレスに「実験」の精神が吹き込まれていくわけです。
そんな歴史を語りはじめると長くなるので省略して、この試合、すごくよかった。
ムエタイ(タイ式キックボクシング)スタイルで試合をするプロレスラー、タノムサク鳥羽と、総合格闘家の野沢の、イデオロギー的にチャンプルーな試合が、いざUWF的なルールに規制されると、なんとっ! 有機結合してしまうのですよ。
で、男の色気が生まれます。
タノムサク鳥羽の、普段のナチュラルな「チャラい」雰囲気に、アッパーが危険さが漂ってきます。その対面にいる野沢の、一見凡庸なスポーツライクな格闘家の外見に、あら不思議、「闘う真面目な求道者」っぽいオーラが吹き出しているではないですか。
素晴らしいっ。これぞプロレスの本来もっていたマジック。
競技になることで市民権は得られるのだろうけれど、私たち観客が見たい、感じたいのはオーラ=色気=存在感なのだ。そのことをじゅうぶんに引き出すために、あいまいさを導入したプロレスという形式があるのだ。