山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

野田真一郎『じかげん』の実況・解説をする

来月のはじめに、映画美学校の映写室を使って「美学校映画祭」が開催される。そこに出品される野田真一郎さんの『じかげん』という作品の解説ナレーションをおこなった。
この作品は、2004年の10月から11月にかけて、多摩市の永山公民館で、TAMA映画フォーラムの主宰によっておこなわれた8ミリワークショップの記録ビデオから、とくに自家現像の部分を編集してまとめたものだ。記録映像だけだとわかりにくいので、いつものような感じで私が実況・解説的なしゃべりをかぶせようという意図で依頼された。
16分ぐらいにまとまった映像をあらためて見ると、8ミリには「現像のおもしろさ」というものがあることに気づかされる。写真の焼き付けをやったことがある人なら、画像が印画紙の上に現れてくるときの興奮を思い出せばいい。8ミリの場合、それがあって、さらにそのフィルムを映写機にかけてみると動くわけだから、喜びは倍加する。なんてことのない日常的スケッチ映像を見ながら、ワークショップ参加者が興奮と喜びの笑い声を上げているのが、みごとに記録されている。これはまさに映画ごっこの快楽に直結している。
これは作品をつくって、作家としてやっていくとかいうこととは別次元にある世界。批評うんぬんはまだ先のことで、まずは無心に泥だんごをこねる幼児の世界だ。でも、ここが出発点であり、道に迷ったときはいつでもこの場所に立ち戻れるようにしなくてはならないのだろう。