8ミリのシネスコ映写
昨日は8ミリフィルム映画祭2009秋の初日でした。
藤原章の初期作品は8ミリでシネスコ。つねづね私は「8ミリにはデータ圧縮とかいう概念はありませんっ」と言ってきたのですが、シネスコって、これ、圧縮(および解凍)そのものですね。なはは。
映写機のレンズの前にもうひとつレンズが設置されています。このレンズを「アナモルフィックレンズ」と言います。撮影のときもカメラのレンズ前にこれをつけて撮影します。すると、映像が縦長に圧縮されて撮れます。それを映写のときに横に延ばしてやれば、横に長い画面を得ることができるという仕掛け。
余計なレンズが加わるので、やや画面が暗くなります。画面の上と下を何かで覆って横長画面にすれば、明るさはそのままですが、やはり何かがちがう。今回数作品を映写して「あ、そうか」とわかりました。画面をパンしたときのゆがみがちがうのです。シネスコでしか発生しないゆがみが、われわれ観客の意識下に刺激を与えて「映画の快楽」を産み出している、ということがわかったのでした。