山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

夜の路地を歩く作品

今日の早稲田大学の授業で、ちょっと心に残る作品が登場した。
若い男が雑然とした部屋でタバコをふかしている。何本も火をつける。やおら立ち上がって外へ。そのままアパート外の路地をゆらゆら歩いていく。たまに詩のような文言をつぶやいている。夜が深い時間なのだろうか、まったく人とすれ違わない。一度だけ、家屋の2階から見下ろしているシルエットの人が確認できるだけ。カメラは最初からずっとカットしない、長回し。そのまま10分ほど外をうろついて男はまた部屋にもどる。すこし遅れてカメラが部屋に入ると、首を吊った男の足がぶらんとしている。
最後のオチは感心しなかった。もっとこわかったり、心を揺さぶるラストはあるだろう。私が同じことをやったとしたら、部屋に帰った男に、声をあげて泣かせる。でもそういうふうにしてしまうのは、中年男の発想だよね。首吊りにしてしまうことが、まだ若い発想のような気がして、悲惨ではあるにもかかわらず、エネルギーを感じる。
しかし心に残った。逃げずに、街に、コトバに対面して向かい合っている姿勢を感じる。それから、夜の路地を歩くせつない感触がよく出ていた。