山崎幹夫の各種センサー

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『海辺の記憶」は身体改造願望か?


添付写真は私の左手のドアップ。23年前、私はこの手の甲をカッターナイフでうっすらと切って、そこからじんわりとしみ出してくる血を撮った。『海辺の記憶』という4分の映画だ。これは最初、イメージフォーラムがやっていた「新作ショーケース」というプログラムに応募したが、中島崇さんに落とされた。そのあとPFFに応募したところ、ほしのあきらさん推薦ということで入選、その後、日比野幸子さんのキュレーションでベルリン映画祭でも上映されたのだった。
写真をよく見ていただければまだ傷跡がうっすらと残っていることが確認できるだろう。
23年たってみれば、たとえばリストカットの心理だとか、性器へのピアスだとか、刺青との心理的な連関性とか、とにかく説明できないまでも、多少なりとも受容されてきたような気がする。
そうなってくると萎える。
あくまでも不可解なものであってこそ、自分にとっても他人にとっても暴力的なまでの衝撃があるのだ。そんな衝撃でふるえたい。これもまた濃厚なエロスとタナトス(生と死の衝動)をはらんだ欲求なのだろう。
ラブホは舞台に使いたい。今風のラブホでなく、悪趣味すれすれだったり、未来的デザインのラブホがいい。そんなバッドテイストな部屋で、異様ななりをした女が不可解な動きをしているのがいい。悪趣味なコスプレだったり、全身刺青女だったり、あるいは身体改造の延長にあるようなニュアンスでの妖怪猫娘とか、アンドロイド女とかがいい。
さて、いいかげんラブホ探しでさえ難航しているのに、そんな被写体とどこで巡り会えばいいものやら。私の新作はどんどん困難な方向へとはまりつつあるのかも。