山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

「今年の映像ベストワン」に早くも遭遇


このブログで告知していないけれど、8ミリワークショップ@下北沢は続いています。2か月に一度。偶数月の第二土曜にやっています。告知はmixiのコミュ「FILM IZM 」にて。
だいたい「自家現像」「簡易テレシネ&編集」「撮影」の3パターンのローテーションですね。北沢地区会館か代沢地区会館でやっているけれど、次回からは三軒茶屋でやるケースもあるかも。
添付画像は今回のテレシネセット。映写機はエルモK110SM。カメラはこの日の参加者が持って来たソニーHDV機。ビデオプロジェクターはラ・カメラ上映でも使っているエプソンのHDプロジェクター。
テレシネが終わって、参加者が持ってきた8ミリフィルムを鑑賞するタイムに。
すると一人の男が、
「これ、人から預かったままのものだけど」と差し出す。
映写してみると若い女が、なぜか不法投棄物だらけの道を歩いている。女はちょっとエキゾチックな顔立ち。藤圭子みたいだと思った。少し陰りのある感じ。冬のような寒々とした、しかし晴天でコダクローム40の妙に健康的な発色とのギャップがいい感じ。
持ってきた男が解説する。
「この女、この時はまだ若くてきれいだけど、こないだちょっと会ったらすっかり太ってオバサンになってたなぁ」
撮影されたのは1994年と箱に書いてある。16年か。20歳だとして今は36歳。そりゃ太ってオバさんになっているかもね。でも誰よ。
「これ撮っているやつが知り合いで、この時つき合っていたんだけれど、そのあと別れちゃったからイラネってことでもらった」
ああ、そういうことね。撮影者と被写体は彼氏彼女の関係か。でもなんでこんなゴミだらけの場所を歩かせてんだ?
「知らねえよぉ」
でももうオバさんになってしまったこの女に、テレシネしてDVDにでもして渡してあげたら喜ぶんじゃない?
「いいよ、もう付き合いないし。こないだ見かけたのもたまたまだったから連絡先も知らねえし」
はは、こんなふうに鑑賞されてるなんてつゆ知らずかぁ。
それにしても、なんだかいいなぁ。俺的にツボだね。これは今年見た映像のベストワンになりそう。どんなフィクションだって、どんな巧妙なコンセプトのアート映像だってかなわない、それでいて俺の心をズキュンと貫くものがあるね。エンジェル・オブ・メディア、8ミリだけが持つ小さな矢が、俺の心のツボにみごと突き刺さったような気がするなぁ。これはなんて気持ちのいい痛みなんだろう。