山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

タマシイは傷つかない


添付画像は山田勇男さんの1985年作品『青き零年』。
昨年も5月の後半にneoneo坐で「8ミリフィルム映画祭」をおこなったけれど、また今年もやります。今回は「学研から手回し8ミリ映写機発売」という、8ミリにとってひさびさに明るいニュースがあるのがうれしい。
『青き零年』は2年前の8ミリフィルム映画祭でも上映した。ま、国宝級の傑作だから何回上映してもいいだろうという判断。で、問題は併映作品。あれこれ悩んだ末に、内村茂太さんの新作を組み合わせることにした。これ、かなりいいカップリングだと思います。
次にプログラムのタイトルで悩んだ。
悩んだ末に出てきたのが「タマシイは傷つかない」というフレーズ。
これ、私の知人のトンボさんという人がふと言ったフレーズなのね。
このフレーズが出てきた流れを説明します。
15年ぐらい前のことだと思うけれど、あるエライ先生が「援助交際はタマシイを傷つける行為だからやめよう」と書いていたのね。それに私は憤慨して「タマシイなんて傷ついて、そして回復してもっと強いタマシイになっていくのじゃないの? 傷つくことを回避するのは過保護ってやつだろ」とことあるごとに言ってたのです。
それを聞いてトンボさん、ぽつりと
「私はタマシイってものは傷つかないと思ってます」と言ったのだった。
意表をつかれたこともあり、このコトバは強く記憶に残った。
なるほど。
8ミリフィルムは基本的には複製しないので、8ミリ映画は、1本のオリジナルを映写機にかけることになる。当然、上映すればするほど傷がついていく。
このプログラムを見る人はどうぞ比較してみてください。『青き零年』はけっこう傷が多数ついています。内村さんの新作はきっときれいでしょう。でも、そんなことは作品に何の影響も及ぼさないのですよね。フィルムの傷はフィルムの履歴書みたいなものだけれど、その向こうにあるもの、スクリーンの向こうから、ひそかに立ち上がって来る、開いてくる世界をのぞき見しに来ているのね。私たちは。
この世界に遭遇してしまうと、もう、タルコフスキーやドライヤーには戻れないでしょ。