山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

山本政志『ロビンソンの庭』前半

本日の授業は『ロビンソンの庭』前半を。
いまさらながら、いろんなことを思うのでランダムに書く。
●しかし撮っておいてよかった(私はまったく泥を飲んでいないけど)。娯楽的要素なんてほとんどないのに、35ミリ映画としてよく完成までこぎ着けたもんだ。若書きの部分やダレている部分が気になったけれど、そんなところまで含めて、ここまで80年代の東京が刻印されている映画はないんじゃないかなぁ。
●パンクというものが、音楽のスタイルのひとつというだけではなく、ライフスタイルまで含めてのものだったということがわかることも貴重だろう。
●廃墟は書き割りでもなんらかの概念の投影でもない。そんなのは廃墟を知らない人が勝手にレッテルを貼っているだけのこと。廃墟は物語からニュートラルな場なのだ。そのことをきっちり意識して廃墟を描いた映画はこの『ロビンソンの庭』以降、たぶんまだ出現していないと思う。
●正規に履修している学生さんで、小川プロのその後をちょっと追いかけた『帰郷』という作品を撮った岡本くんがいたので、「山本政志小川紳介はウマが合ったのよ。まわりは奇妙に思っていたけれど、これ見るとなんとなく納得できるでしょ」と言う。指向するところはいっしょなのよね。廃墟でキャベツを栽培するクミと、牧野で米をつくる小川プロって、じつは似ている道を経てそこにたどり着いたのだから。