山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

その場の光線状態を読む力


昨日の8ミリ教室では露光計の使い方をやったわけだけれど、キモの部分は2つ。
ひとつは、シングル8がなくなってしまって、スーパー8でしか8ミリができない状況になった場合のこと。カメラテストで露光オートで撮ってみて、それで「問題ないじゃん」と思えば問題はない。しかし「これはちょっと」と思ったら、露光計で計測して絞りを手動で設定しなくてはならない。
もうひとつは「いちおう露光計の役目と使い方はざっと知っておこう。でもオートで撮っても、こんなに素晴らしい画像は撮れますよ」と言いたい。そのための参考上映として山田勇男さんの『スバルの夜』のなかで、草原を帽子コート男が夕日に向かってゆっくり歩いていくシーンを見せた。このシーンではカメラも手持ちで、揺れている。夕日が直接カメラに当ると、カメラは自動で絞りを絞っていくので、ぼとんど真っ暗な画面に、太陽だけがあらわれる。その夕日を男や、そばの廃屋がさえぎると、絞りは急速に開いて、空は白く飛んだ状態になる。ことばでこう書いてもうまく伝わらないかと思うが、これがひどく気持ちがいいのだ。
山田勇男や大川戸洋介は絞りをオートにして撮って作品にする。
しかし彼らが撮って、現像された映像を誰もが撮れるわけではない。そこではアタマで考えるのではなく、とても感覚的に「このいま、ここの光線状態は8ミリで撮るのにサイコー」という判断があるはず。それはやはり、繰り返してカメラを持って撮っていくことでしか体得できないことなのだろう。
添付画像は山田勇男の最高傑作と私が考えている『青き零年』における名ショット。8ミリでしか到達できなかった、天使もおそれる辺境に屹立する作品。この作品は9月にneoneo坐で上映いたします。