山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

多摩モノレールからの視点


多摩モノレールという電車の路線がある。JR中央線とは立川駅で接続し、北は東大和市の西の方、南は多摩ニュータウンへとつながっている。
何年か前にこの路線が開通して、乗ってみて窓からの風景を見ていて、なぜかひどくショックを受けたことがあった。
それはだいたい砂川七番駅から北の終点の上北台までのあたり。ここは私が高校生のときに、自転車で目的もなくうろうろとしていた地域だ。自転車でうろうろして、そのあたりの地域の風景は身体にしみ込んでいった。それから、地図をみて現地と照らし合わせるときに働くような想像力で、上空から見下ろした「この土地のありさま」という観点もなんとなくあった。
しか~し、モノレールぐらいの高さから見下ろして、しかもそれが移動していくなかで見える風景という想像は、私の頭のなかには存在しなかった。そのことをモノレールに乗って気づかされたのだった。
たとえば毎日、自宅から駅までの道を往復していたとして、ある日、いきなり取り壊されて更地になっていた場所があったとする。その場所は、何かが建っていたはずなのだけれど、更地になってしまった今、思い出そうとしても、どういうわけか思い出せなかったりすることがある。その程度にしか風景の1コマは記憶に定着していないわけだ。
あまりにも身近にあるくせに、気づかない風景や場所、人物などが、急にクローズアップされてくるときの、その心地よさってものがある。もしかしたら、銀河の果てまで想像力の羽根を伸ばしたあと、必然的に辿り着くのはそんな風景なのかもしれないと思った。
今考えている『うずまきの彼方へ』の最後のオチのショットのあと、多くの人には伝わらなくてもいいから、いくつか、そういうショットを追加しようかという気になっている。具体的に言うと『グータリプトラ』のしょっぱなのようなショットだろう。
(添付画像は多摩モノレール。金井勝さんの『前衛仙術』でも、多摩モノレールが出て来ましたな)