山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

パーソナルフォーカス2009-2010


これが最後かと噂されるパーソナルフォーカスの東京上映。
19日にキノキュッヘ@国立、20日にラ・カメラでの上映を終えた。今回はあと一カ所、シャトー2F@武蔵小金井での上映が予定されている。(JR中央線武蔵小金井駅南口を出て、ロータリー肥大手の商店街を直進、セブンイレブン手前の交差点を右に曲がり150m席、右手の「シャトー小金井」2階、駅より徒歩5分)
ぜんぶで45本、印象に残ったいくつかの作品の感想を走り書きしておこう。

能登勝『満月』…相変わらず、すばらしいの一言。繰り返される暗転が、意識の明滅に直結した感触を出せるのは、日本では能登さんだけ。ブラッケージっぽい作風だけれど、ブラッケージを超えた部分がいくつもあると思う。
内村茂太『砂肝とビール』…これまでのこの長さの内村作品とは異なり、30分ぐらいの内村作品を凝縮したようなデキになっている。わかちゃいるけれど、飼い猫のチャコと、名前を呼ばれない妻の日常の情景が8ミリ映像でスクリーンに投射されると、ぐっとくる。はかないのに、なんて長く続いてくれるしあわせ。
黒岡洋一『からくりどけい』…今回こそ黒岡さん、はずしたな、と思っていたら、やられました。見事。実験映画でも小型映画でも日記映画でもなく、このパーソナルフォーカスでこそ花開いたすばらしい作品群。パーソナルフォーカスファンしか黒岡さんを知らないという、なんと特権的な至福。
福間ののこ『還る』…「あれ、宮田さん、今回は2作品出品しているのかな」と思ったよ。わはは。娘さん(21歳)の作品でした。しかし似ている。個人映像ならではだよね、こういうの。前にも星野出穂さんの作品を見たときに、あまりにもほしのあきらさんに似ているのでびっくりしたっけ。何が似ているかというと、カメラワークやカッティングの呼吸、そこから醸し出されてくる「映像の体臭」みたいなやつがそっくり。遺伝子レベルの問題だったのだ。
宮田靖子『3min.Rock'n Reel!』…その宮田靖子さんほど、8ミリを撮るよろこび、見て、時間と光を共有することの楽しさをかたちにしてくれた人はいないと思う。いつも正々堂々、逃げも隠れもせずに8ミリを廻して、それを「どう?」と見せてくれてます。
万城目純『ひきはなれたフィルム』…なんかこの作品、すごくエッチな感触があるぞ。裸があるわけでも、あからさまなフェチがあるわけでもないのに、そんなふうに見ている人間に思わせるとは、さすが万城目純。