山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

新作『1979/2010』の音楽作成


つなぎ終わったら、お次の作業は音づくり。
今回の作品は、撮影中にすでにアタマの中で太鼓の音がポンポンとのんびり響いていたので、それでいこうと思う。
使用アプリは『マルフク百景』『クラゲと亀裂』とおなじGarageBand。前回『クラゲと亀裂』ではすでに用意されていた音のまとまりを組み合わせるだけで作成したけれど、今回はそうしないでつくってみた。
つまり、キーを自分で押して音を入れていった。パソコンのキーボードで演奏したわけです。
ここ10年ぐらいの自分の作品は「サイレントで上映しても平気」を目標につくっているので、つける音楽は映像の弱い部分を補強する必要はない。だからむしろ、隙のない音よりも、スカスカな感じが漂う方が似合っているような気がする。
いや、言い訳ではないですよ、リズムがしばしば乱れることの。
たしかにパソコンのキーボードでメロディのあるものを弾いてみると、いかにホンモノのキーボードが弾きやすいようにできているかがわかります。
でもなんとかなるもんだ。べつに誰に観察されているわけでもないから、身体のどこかを動かしてリズムをとりながらキーを押さえていけば、どうしてもはずしてはならない部分はなんとかなる。なりました。

音楽ができたら、iMovieHDをふたたび立ち上げ「メディア」からGarageBandを選択、さきほどつくったものを選択して音のトラックに入れればいい。
次に同時録音した音声とのバランスを取る。
これが8ミリのときはとても難しい作業だった。第1トラックに入っている音声と、第2トラックに入っている音声のバランスがなかなか取れない。なんと映写機によっても再生バランスが異なったりするのよ。8ミリ映写技師としては、ピントをきっちり合わせる作業もさることながら、この1トラと2トラのバランスを、作者でもないのにきちんと調節してあげることに費やす労力の方が大きかったりしたのです。
PFFの上映のとき、すでに審査でバランスの可変を心得ていたために、シーンによってテキパキをバランスを最適に調整していた私を見て、当時の審査員、ほしのあきらさんが「最高の映写をしてるな、山崎」とホメてくれたのはいい思い出でアリマス。
で、その時の作品が『肉体労働者が空を飛ぶ時、窓ぎわのコーちゃんに恐怖の暗躍団が迫る』というエンタメ作品だったのだけれど、幸運なことに一昨年のフィルムセンターでの上映でも、私が映写の担当になったのでした。そして、20年以上ぶりだというのに、覚えているもんです。1トラ2トラの調整が必要なシーンにきたら、とっさに思い出してその当時と同じ調整ができました。こういうことって、やはり脳内のどこかにきちんとしまわれているのですな。

と、脱線しちゃいましたね。
音の調整ができればあとは書き出すだけ。ほぼ完成です。