PKディック/ミステリーゾーン
創元文庫版35ページ 「あるとき、何年も前だけれど、きみは雄ネコを飼っていたね。愛していただろう。いぎたなくて偽りに満ちたネコだったのに愛していた。ある日、骨のかけらが胃に刺さって死んだね。ゴミ箱から火星ネワシの死骸をあさったせいだ。きみは悲…
これはあとがきで訳者の大森望が書いているように、ことディックにおいては物語の破綻していることを好む人にとってはかなりディック長編ランキングのかなり上位に食い込むのではないだろうか。 物語の破綻と言ってももちろん、決定的な部分で何かが欠落して…
これまで何本の映画がディックのSF原作から産まれているか。 タイトル、製作年度、原作題名を。 『ブレードランナー』1982年(アンドロイドは電気羊の夢を見るか?) 『トータル・リコール』1990年(追憶売ります) 『バルジョーでいこう!』1992年(戦争が…
あとで調べるとディックの長編第二作目。なんと1954年の作品。 それにしては宗教的なものとか、後年のディック作品に出て来るものはひと通り揃っている。 だが、読み返してみれば「世界戦争の放射能の後遺症によるミュータント」だとか、機械の描写で「真空…
サンリオSF文庫版152ページ 「地球にいたころ、いつだったか、ぼくにも奇妙な経験があるんだ。ごくささいなことなんだけどね、食器棚からカップを出したんだ、めったに使わないカップだったよ。カップの中に、蜘蛛が入っていたんだ、死んだ蜘蛛が。食べるも…
創元文庫98ページ 「神は死んだよ。2019年に死体が見つかった。アルファ星そばの宇宙空間を漂流していた」 「見つかったのは、あたしたちより数千倍進化した有機生命体の死体。居住可能な世界をつくりだし、そこに生命体を住ませることはできたみたいだけど…