最初に見た電卓がいちばん美しかった
一番最初に見た電卓のことをふと思い出した。
父親の職場にあった。20人ぐらいが働く部屋の真ん中に、一台だけデンと置かれていた。そう、けっこうデカかったのです。何にたとえたらいいのかなぁ。fax機能付き電話機ぐらいの大きさというか。
「ほら、こうやって使うんだよ」と父親が電源を入れてみせてくれた。
「……!!」
たぶん小学生の高学年ぐらいだった私は、その美しさにゾクゾクした。
表示窓のなかに数字が、ネオンサインのように点灯している。そして、なんとっ! 窓のなかでは、点灯している数字以外にも、0から9までの数字が極細の蛍光灯のようにして重なって入っているのですよ。
なんという美しさ。
そのことを思い出したのだった。
「欲しいな。うん、欲しいぞー」といきなり盛り上がった。思い出してしまうと液晶表示の電卓なんて唾棄すべき下品なシロモノに見えてくる。
さっそくヤフオクで調べてみる。
ない。
液晶一辺倒になる以前の、青色というか緑色に数字が光っていたものは出品されている。
ならば画像だけでも見てみたい。と調べたところ、けっこう見つかります。複数のレトロ電卓マニアがサイトをつくっていましたね。私が見た機種は、ソニーのICC500かICC510でしょう。
全体像の画像もあるけれど、小学生の私が魅了された数字の部分のアップの画像を貼り付けます。
ね、美しいでしょう。