『うろつきズム論ノート』制作メモその4
8ミリビデオフッテージを見る作業を進める。
じっさいの街うろつきとちがうのは、映像作品に採用するためには、ひとつのショットに盛り込まれた展開が必要だということだ。
リアルの街歩きだと、たくさん入ってくる情報の総体から、その街の、その路地の印象がつくられていく。しかし、映像はつねに区切られた一方向しか見ていないし、さらにひとつのショットには、そのショットの始まりから終わりまでの直線的な時間の流れがあるということだ。
そして、ショットをさらに直線的な時間のなかに配列していって、作品がつくられる。
あたりまえのことを今さらながら書いているけれど、リアルの街歩きのときの感覚をどこまで盛り込めるか、落としどころをさぐらなくてはならない。
それと、迷っているのが、そのショットなりシークエンスを撮影した場所の情報を字幕などで入れるかどうかということ。
「東京都北区赤羽西」とか「埼玉県行田市」とか。
見ている人にとっては、その情報が入ることで「どこだここ?」という興味が満たされるだろうけれど「カラオケビデオのロケ地紹介でもあるまいし」という気もする。
「日本のどこかの路地」という感じで明示しないというテもありだと思う。
さーて、どうしたものかな。
ラ・カメラ上映の場合、来てくれた人に配る「当日パンフ」を作成するから、ロケ地情報はそちらに書き連ねればいいという気もするし。