山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

U子


大川戸洋介の『恋の姿見』は3人の女性をスケッチ撮りした作品だが、その最初の女性を見ていて、私はU子のことを思い出したのだった。
U子は札幌で女性だけ5人組のパンクバンドをやっていた。
私の作品に出てはいないので思い出すことも少なかったけれど、私が撮影をした作品にちょい役で出演していたのだった。
北海道人らしい気さくなコで、すぐに仲良くなったのだった。
そして、なぜそうなったのかは覚えていないけれど、U子の実家に遊びに行ったことがある。実家は札幌市内で、地下鉄南北線自衛隊前駅から歩いった。
のちにまるバ会館ができて、そこで上映をするために何回も自衛隊前駅で乗り降りすることになったのだけれど、札幌に住んでいた頃はおそらくその駅に降りたのはU子の実家に遊びにいったときだけだったと思う。
まるバ会館での上映の合間に「U子の実家って、どっちの方だっけ?」と思ったこともあったけれど、もう記憶がおぼろで思い出せなかったっけ。
『恋の姿見』を映写しながらU子のことを思い出し、そして「ああ、そうだったのかもしれない」と思い当たったことがある。
U子は自分のなかの女の子的な部分がそのまま具現化したような存在だったのだ。
U子はすぐに東京へと出ていき、そこでアレルギーというバンドに入る。
アレルギーはかなり人気を集めたけれど、商業ベースに乗る直前で解散した。
その後、フランスでU子は死んでしまう。
ああそうか。
自分のなかにいる女の子的部分は成長しない。
死んでしまったU子の記憶もそこで止まったままだから、たまに、こんなふうにシンクロして記憶の表に出てくるのだろうね。