石内都展@目黒区美術館

私には人体のキズも「地形」に見えてしまう。
これらのさまざまな要因によってつくられたキズ。
その履歴に思いを馳せるかと言えばそうではない。見知らぬ他人のキズに過ぎない。それが接写されているものだから、まるで皮膚には見えなかったりして、どこか遠い惑星の表面の地形を撮影した写真のように思えてくる。
どこか遠い惑星。
考えてみれば、自分のことだってよくわからないまま半世紀近く生きてきているわけだから、他人なんて「どこか遠い惑星」みたいなものだ。
石内都のこれらの人体キズ写真は、そんなことを思わせてくれた。