武蔵野スタイル焼きだんごの探求
●「武蔵野スタイル焼きだんご」とは私の造語。醤油に繰り返し漬けて焼いた団子のこと。おなじ「焼きだんご」でも、全国的には甘辛のたれをつける「みたらし」の方が多勢なので区別しておこうと思った。
●武蔵野台地は水はけがよすぎて水田がつくれない。そこで小麦粉を栽培した。小麦だけでなく、水田なしで稲も栽培した。これを陸稲(おかぼ)という。こうしてつくった米は食感が悪いので粉にして、だんごにして食べた。地域の地理的な事情に根ざした食べものなのだ。
●こんなインタ-ネットな世の中なので、どこかにファンサイト、まとめサイトがあるかと思ったらない。mixiにもコミュはない。そこで調べてみようという気をソソられたのだった。
●従来、このスタイルの焼きだんごは所沢が中心地だと言われてきた。なるほど、世の中のかなりの数の人にとって、醤油焼きだんごは「だんごの美好」「いずみや」「たかのチェーン」あたりで購入して食べているはず。これすべて「たかのチェーン」という、所沢に本社がある会社の系列なのね。ここは30円と激安。所沢に本部があるという点では、うどんを語るうえでの「山田うどん」チェーンと似た存在です。
●その他の焼きだんご店をリスト化してみると、所沢10店、東村山7店、川越13店と、じつは川越市の方が中心地と言ってもいい数の店があることがわかった。
●焼き団子だけの店もあり、和菓子店が提供している店もあり、あるいはうどんメインの店が焼き団子も手がけているというパターンもある。ひとつ特徴的なのは、お寺の境内ないし至近の場所で営業している店が目立つことだろうか。
●昨夜うろついたあの場所にも、むかし小さな和菓子屋があって、そこの焼きだんごが私の記憶に焼き付いている。いまは駐車場になっていました。向かいの銭湯はマンションになっていた。銭湯の匂い、焼きだんごの醤油の焦げる匂い、肉屋のコロッケを揚げる匂い、八百屋の漬け物のヌカの匂い……。匂いによって記憶ってものは喚起されるのだけれど、まったく匂いが無い路地に変貌していましたね。