飯能市にまつわる思い出
背後の建物のあずき色の波板がところどころ剥げていて、自販機のディスプレイ缶は退色しています。
いいですねー、としか表現のしようがないのですが、これもまた飯能市での採集。
飯能市、ということで私の心の底でシクシクと痛むものがあります。飯能市にまつわることで、いやな思い出が3つほどあるのです。
そのひとつ。私より少し若くて、けっこう親しくしていた女性が、殺されてしまったのでした。それが飯能市での出来事。
自分の知り合いで自殺した人がかなりたくさんいるのですが、殺されるという死に方をしたのは彼女だけでした。
だからどんなにのどかな風景でも、飯能市には、私は特別なフィルターがかかってしまうようです。ぐっ、ぐっ、と何かこみ上げてくる名づけようのないエネルギーがあって、それは映像にしようがないものだから、ちょっとした掌編小説にしたことがあります。で、勢いで書き終えたあと、
「なんかこれ、ブコウスキーのマネっこみたいだな」と思ったのでした。