山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

インド映画は目でダンスする


添付画像はインド映画『RANGEELA』のミュージカルシーンの1コマ。男優はアミール・カーン、女優はこの映画でスーパースターになったウルミラ(まだあか抜けないけどそれがいい)。ヘンな顔をしているのは、このショット、身体は動かさずに目だけでダンスしているところなのだ。
目の動きは限られている。目玉をぐりぐり動かすことと、開いたり閉じたり、ウインクすることぐらいしかできない。だから一ショットだけのアクセント的な挿入になるけれど、目だけをぐりぐり動かしているのは、それがどんな動きであれひょうきんな感じになる。
そしてまた重要なのは、これは映画だけがクローズアップという手段を使えるがゆえに特権的にできることなのだ。
さらに、添付画像を見ると、アミール・カーンとウルミラの目玉の向いている方向がちがう。ウインクしている動作でも息が合っていない。妙にズレていることがインド映画のミュージカルでの特徴であって、そこからエモーションが沸いてきているのではないかというのは私の推論だけれど、ここでもそうだ。
男女の動きはあらゆる部分において異なってくるのが自然であって、それをムリヤリ合わせている社交ダンスなどに代表される男女ペアダンスっては「秩序あることの美」のダンスなのだろう。
インド映画のなかのダンスをじっくり観ていて思うのは、これは「秩序ないこと(カオス)」の噴出する高揚のダンスだということだ。