山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

渦巻正宗


変った名の日本酒というのはそんなにないけれど、探してみると「オバステ正宗」とか「Aくん」とか「のうきょう娘」とか「パイン鶴」とかある。ま、このレベルどまり。
ずいぶん前のことだが、埼玉県鴻巣市あたりをうろうろしていると、目についたのが「渦巻正宗」という名。ほら、よく居酒屋の看板とかに地元の酒のロゴが入っているでしょ、それです。「渦巻」というのは酩酊している人の主観視線を表現しているのだろうけれど、そこに「正宗」というスラリと切れ味のいい直線をイメージさせる語をくっつけるところがよかった。
で、さっそく買って帰って飲んだ。フツーにうまい酒だった。
で、しばらくしてからまた行ってみた。こんどはビデオカメラをまわしながら、蔵元に入っていった。しかし妙だ。なぜかガランとしている。奥の方にいるじいさんに聞いてみると、酒つくりをやめたのだと言う。残念。
いよいよ「まいまいず井戸」から始まる作品を撮影するタイミングになって、あれやこれやと自分のアタマのなかにある渦巻のイメージを引き出している。
作品のなかでうまくまいまいず井戸のある羽村駅前から、鴻巣市の渦巻正宗の蔵元があった場所に線がひける(強引なコンセプトを成立させる)ことができればいいのだけれど、そうなったそうなったでなんだか悪い意味での下品な感じもする。
吉増剛造さんはまいまいず井戸を、アイヌ民族の儀式(あるいは鯨の解体場所)であるアフンルパルに結びつけた。若林奮さんはたしか、地表からコマのようなものをくりぬくイメージでまいまいず井戸を表現していたと思う。さあ、私はどんなハッタリをつくり出そうか。
(添付写真はわりと最近飲んだ酒で「想天坊」。実在の地名らしいが、イメージの喚起力があった)