山崎幹夫の各種センサー

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マザー3(GBA)


クリアタイムは30時間。
マザー(FC)マザー2(SFC)やってきます。このシリーズには好感持っています。そもそもニンテンドー64で発売する計画で進めていたものが一度頓挫して、もう出ないかと思っていたら、DSliteが発売されたあとに、GBAゲームボーイアドバンス)のソフトとして発売されたのです。けっこう迷走しました。しかしこのゲーム主人公であるリュカは『大乱闘スマッシュブラザースX』でも主要キャラとして登場していたので、任天堂的には価値を認めているのでしょう。
まーそんなことはどうでもいいことで。
このゲームの魅力はなんと言っても糸井重里の書くシナリオのセリフでしょう。じつによく練り込まれています。
いちおうシナリオライターとしてのキャリアもある私としては、数々のRPGをプレイしてきて、何が一番苦痛だったかと問われたとしたら「しょうもないセリフ回しが最も苦痛です」と答えます。『ドラクエ』の長所は、セリフに無駄がないこと。その点では、この『マザー』シリーズにブがあります。歯切れのいいセリフ回しは、おそらくハードボイルド小説を参考にしているのではないかと推測するのですが、それがいいリズムをつくっている。
『マザー』の特徴でもあり、弱点として指摘されることも多いのは、ラストに向かって盛り上がらないことです。ここらへん、ノホホンと始まりながら、中盤を過ぎたあたりから思い切り盛り上がっていく『大神』とはたいぶ異なるおもむきです。たぶん、糸井重里じしんが、そのような「感情操作」が大嫌いなのでしょう。そこらへん物足りなく思う人の方が多いでしょうけれど、私は好みです。絵空事の「巨悪」なんて登場しなくて、しだいに明らかになる世界のしくみがわかってくると、それはそれはせつない限りの設定であって、その設定の余韻を噛み締めながらエンディングを迎えることで、じんわり泣けます。