リュウセイオー龍のダンス公演
「野戦の月」や「独火星」などの劇団で役者として活躍している若者、リュウセイオー龍のダンス公演を見てきた。
彼は脳性マヒだろうか、障害を持っていて、身体の動きに制限がある。演劇という場では、その制限が、逆にオーラを生み出す燃料へとうまいこと転化されていたと思う。しかし今回は「ダンス公演」だ。どんなものを見せてくれるのか。どんなふうにこちらは感じるのか。興味をソソられた(センサーの針がクイッと振れた)。
音楽は大隈ワタル、こぐれみわぞう、小間慶大。
リュウセイオー龍のダンスは、身悶えと混沌と制御できないものを押し出そうとする葛藤。真剣にやっているデタラメ踊りのように見える。最前列の人々は、制御できずに吹き出された彼のツバを浴びてしまう。そこらへんは妙にアングラっぽい。
その「制御できない荒々しさ」が、彼のほんらい持っているオーラをともなって、光る。存在感に圧倒される。
しかし、しばらく時間が経過すると、受け手であるこちらに気持ちの余裕が復活してきて、わがままな観客としては、ちょいと退屈しはじめたりもする。ここらへんは弱点かもしれない。つまり「展開がない」のだ。最初にわーっと全部を出してしまうので、その刺激が過ぎてしまうと、醒めてしまう。
荒々しいところ、制御不能の魅力はそのままにして、それを展開させていくことは不可能なことではないと思う。独学で踊っているのだろうから、ここはひとついい振り付け人と出会うべきだろう。