山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

三日月バビロン『トロイメライ』


いつも映像記録を担当している劇団・三日月バビロンの最新公演。
ラ・カメラの上映と重なった日程だったので、一回しか公演記録撮影できなかった。
失敗できないので緊張したけれど、みごと失敗。
カメラのせいなのかもしれないけれど、何カ所か、書き込みできていないところがある。まー、2カメなのでなんとかつぎはぎ編集はできるけれど、こういうミスがあるとがっくりきます。
そんな私事はともかく。
このところの三日月バビロンらしく、かなりキツい痛みの描写がある。女の人が人殺しをしようとするシーンは、グロい描写はないけれど、それゆえに生々しい叫びが心を打つ。演劇でしかできないことだ。激情がそのまま伝わってくる。
そんなもろもろの激情に反応しているだけでもいいのだけれど、物語の構造が、じつはもっと複雑であることが感知されてくると、ぐっとコクが出てくる。何回も思い出して、自分の裡でもてあましているものとぶつけてみたりすることができる。
そもそも櫻木バビの台本は、わりとストレートだ。戦争や暴力への恐れがいつも出て来て、そのうえに甘いものが乗せてある。私がいつも自作品で採用する自己嫌悪の要素はないので、そういう意味でストレートと言ったわけ。
人間は否応なく死んでいく。
自殺する人もいるし、病気や事故で死ぬ人もいる。
どちらにしても、残された思いを抱いて、途方に暮れながらさらに生きていくことを選択した私(たち)はどうしたらいいのか。
もちろん忘れることはない、覚えているよ。
覚えているんだけれど、知らず知らずのうちに、はらはらと剥落してしまうんだよねぇ。
それはどうしようもないことなんだけれど、「いつかは消えてしまうんだ」と考えれば「いますぐに」とは思わないで済むだろう。
ずっとずっと、と思いつつも、ずっとずっとなんてありえないのだから、せめても、皮膚と皮膚を合わせて、ほ乳類の暖かさを伝えましょう。それでじゅうぶんなのだと思うし。