山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

山崎敏男『かわうそぼく』


8ミリフィルム映画祭2008年秋での上映作品として「山崎敏男の作品を見たい」というリクエストがあった。
たしか、山崎敏男の作品は3本ぐらいしか残っていなかったはずだという記憶があった。
山崎敏男は1995年7月、アパートの自室にて孤独死した。彼は統合失調症を患っていて、そのため被害妄想から迷惑電話を知人にかけることが多々あって、まわりから彼に電話するということはなかったようだ。そのために発見が遅れた。
すでにご両親は他界していて、親戚関係の人が後始末に来て、そのために部屋にあった作品のすべてが捨てられてしまった。
あらためて調べてもらったところ、PFFに応募され、一時審査を通過した(入選はしなかった)ためにテレシネしてある『かわうそぼく』だけが、いま見ることのできる山崎敏男の単独制作の作品だということがわかった。
たった一本、それもオリジナルのフィルムでなくビデオにしたもの。
山崎敏男が映画作品をつくっていたという痕跡は、この作品しかない。
ま、そこで、山崎敏男の作品を観た記憶を呼び起こし、私が『夜の心』という作品をつくった顛末はこのブログが「山崎幹夫の映像制作ノート」時代に書いた。
そして、私の『夜の心』を見て、出射広海さんが『ヨルノキモチ』をつくった。生き物がDNAで細々と生を連鎖させていくように、つながっていく。
PFF事務局に頼んでUマチックのテープからダビングしてもらった『かわうそぼく』は、みごとに色信号が欠落して白黒映画になっていた。
この作品を人に見せる機会をつくっていくことが、山崎敏男に対して私ができる唯一の供養でしょう。
10月25日17時からのプログラムにて上映させてもらいます。併映は山田勇男『郷愁』と石井秀人『風わたり』で。