山崎幹夫の各種センサー

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『もう夜』ノベルその7/犬死にローザ


以下は6月15,16,23日にラ・カメラ@下北沢で上映する新作短編映画『もうすぐ夜がやってくる』のノベライゼーションで、全部で10回の連載になる予定のものです。上映会のくわしい情報については、こちらの記事を参照ください。

今日はペウレプにチャイナ服コスプレをしてもらっている。
スーパーファミコン世代だったりすると、チャイナ服=ストリートファイターllの中国拳法少女の春麗(チュン・リー)をイメージするはずだ。
そう、いわゆる戦闘少女萌えってやつですな。
その源流は何か、とか遡っていくと、たとえば静御前だとか、ジャンヌダルクなんて名前も思い浮かんでくるけれど、それは遡り過ぎのような。
もちっとリアルなところに引き寄せて思い出してみると、おや、ゲバルト・ローザなんて名がアタマに思い浮かんだぞ。自分よりちょい前の世代だけどな。
ぐぐってもらえば話は早いかもしれないが、東大全共闘で果敢な革命闘争をした柏崎千枝子のことを通称、ゲバルト・ローザという。
柏崎千枝子だけでなく、各地の大学、高校、三里塚をはじめとする闘争の現場で、機動隊と押し合いへし合いするような、ヘルメット装備の激しいデモに参加するような若い女性にはもれなく「××ローザ」の愛称がつけられたのだった。
まだ「萌え」なんて言葉はなかったけれど、自分にとっちゃ、ここらが戦闘少女萌えの源流だな。不謹慎ですが。
学生運動の盛んだった大学などに何人もいたはずのゲバルト・ローザたちの多くはどうしているんだろう
彼女たちの多くはまだ生きているのだろう。少なくとも、政治的な闘争で死んではいないはずだ。こののっぺりと優しい街のどこかで、のうのうと生きていて、韓流ドラマなんかをでれでれ観ているところなのかもしれない。
柏崎千枝子。ふーん、1943年生まれか。というと2013年のいま、なんとなんと70歳だよ。ゲバルト老婆、なんちて。
存命なのかどうか、ぐぐっても何も出ないけどな。死んでたとしても犬死にしてはいないだろう。
さて、その「ローザ」のもとになったドイツ共産党創始者であるローザ・ルクセンブルグは、あっさり殺されている。それも撲殺され、死体は投げ捨てられたままになるという犬死にぶりだ。すげえな。さすが元祖。
ローザ・ルクセンブルグについては続報がある。2009年に発見された、とある首なし死体をDNA鑑定して、それが確かにローザ本人だと認められたらしい。
うへっ、なんだかなぁ。
そのほかの革命英雄といっしょで、けっきょくは神格化されてしまうのかねぇ。
死体が、死んだ場所がやがて石碑が建てられ、人々が参拝するようになり、入場料を取るようになり、土産物屋ができて「ローザまんじゅう」が売られるようになる、と。
だから、ビンラディンアメリカ軍が殺したとき、のちのちそうならないように、死体を現場から強奪していって、どこかの海まで運んで水葬したんだっけ。
まだかなペウレプ。ほんと長いな、女の着替えって。