山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

自分の映画歴語りその9/未公開作品『木炭をつくる』


やはり札幌に住んでいた大学生の時代、小川プロ製作の『ニッポン国古屋敷村』の上映スタッフをしたことがある。札幌では道新(北海道新聞社)ホールというそこそこいい場所を2日間ぐらい借りて公開したのだった。
小川プロからは飯塚さんがやってきて指揮をとり、宣伝もしっかりきっちりやったし、客入りもよかったと記憶している。
もちろん三里塚シリーズも見ていたけれど、それらは自分たちがやらなくても、政治運動系の人たちが上映会をやってくれていたのだった。
しかし三里塚の地をはなれ『ニッポン国古屋敷村』になって、ようやく私たち映画専門の人間たちが映画を公開するということになったわけです。
阿賀に生きる』の佐藤真さんと私とで、何か共通するものがあるとしたら、おそらくは小川プロ的な「一緒に生活するところから見えてくるものを映画にする」という姿勢かもしれない。
80年代の終わりぐらいに、私が赤ん坊のころからの知り合いである人と、日本酒づくり、木炭づくりをしようということになった。
木炭づくりをするなら、本職の炭焼きさんと知り合って、足手まといになるかもしれないけれど「手伝わせよ」と通いの弟子入りし、そのプロセスを学ぶとともに、8ミリで記録に残そうということになったのだった。
そうして撮ったフィルムを編集し、わかりづらいところはナレーションで補ってまとめてみたのが『木炭をつくる』という、私の唯一のトラディッショナルスタイルなドキュメンタリー作品だ。
しかし、これ、公開していません。木炭作りを学ぶことが第一義であって、その結果つくられた作品を「これも私の映画作品です」というふうに公開しようという気にはならなかった。
なぜ積極的に上映しなかったのか。
木炭をつくる過程を記録した、それ以上の価値が見いだせなかったからだ。
これって、映画(映像)作品と、ホームムービーをへだてている境界線にも似たものがあるように思う。
そこらへんについては、また稿を改めて書くことにしたいと思います。