アクションバンダー趣味の思い出その1
ちょっとしたきっかけがあったので、自分の無線傍受趣味(アクションバンダー)の思い出をいくつか書いていきます。
まず、きっかけは1984年、『ロビンソンの庭』の脚本を書いているときに、内田栄一さんに「ラジオなんか聴いてないで警察無線を流しっぱなしにしていると面白いし、想像力をかきたてられるよ」と言われたことだった。
内田さんの言うように、郊外のそこらのディスカウントショップにて、警察無線を聞くことができる機器が売られていた。まずは5000円で買ったのが最初で、この機械は『泥のなかで生まれた』に登場しているやつ。
そもそも最初の頃の『ロビンソンの庭』にも、この警察無線傍受が登場していて、じっさいに出来上がった映画ではヤクの売買をしていることになっているけれど、最初の方のシナリオでは警察無線傍受で得た情報を活用して、小市民をプチ脅迫して生きていることになっていた。
警察無線は1986年頃、一般人には傍受できないように、暗号化されたデジタル無線になってしまう。
そこでもっぱら東京消防庁を聞くことになる時期が続くのだけれど、火事ってのは頻繁に起こるものではないし、救急の方は病人の具体的な状態を報告するものだから、想像するとあまり気分がいいものではない。
ごく少数だけれど、東京コカコーラのファンもいたっけ。要するに自動販売機の補填作業の指示とかなのだけれど、ここのオペレーターが女性なのね。女性がテキパキ業務連絡をこなすものだから、今の言い方でいう「萌え」を感じる人たちがいたわけですな。
さて、私はというと、コードレスフォンの傍受へと向かった。自宅の屋根の上に、コードレスフォンの周波数381MHzに特化させたアンテナを立てると、数百メートル先の家から出るコードレスフォンも聞くことができた。さらに、当時「盗聴防止機能付き」として売り出されたコードレスフォンもあったが、それは「10番A」と呼ばれるお粗末な「防止機能」だったので、それを解読できる機材を秋葉原だったか通販だったで3000円ほどで購入して取付けていた。
よく「盗聴している」と言われたものだが、これは「盗聴」ではない。コードレスフォンという、勝手に電波をタレ流す機器を「傍受」しているだけなのだ。こちらが仕掛けているわけではない。
もちろん、そうして知り得た情報を他人に教えてしまうことは禁止されている。
しばらくはそうして楽しんでいたけれど、しょせんは他人の日常会話でしかないので、しだいに退屈になってきてしまい、いつしか機材はホコリをかぶりという状態になったのでした。
1985年から1991年ぐらいまでですね、のめり込んだのは。
たかが数年のあいだのことだけれど、おもしろいエピソードがいくつかあるので、これから順次書き残しておくことにしましょう。