山崎幹夫の各種センサー

8mmfilmの情報を提供&映像制作ノートとして始まったが、8mmfilmの死去で路上観察ブログになり、現在はイベント告知のみ

ホームレス殺害現場


ここにゲートボール場があった。
ゲートボールの器具をしまう物置があって、そこで寝泊まりしていたホームレスを中学生が暴行して殺してしまったという事件があった。
この場所の近くの路地を撮影していたとき、撮影を進めていて不思議に思ったことがあった。
その路地には、まるで猫がいないのだ。
どうしてだろう?と考えた。路地には猫がつきもの、その猫が見当たらないということは、猫にとって不都合な何かがあるはずだ、と。
そうして、このホームレス殺害事件を思い出したのだった。
その夜。人間の耳には届かなかった、理不尽に暴行を受け、やがて絶命していったホームレスの死のあえぎを、ここらの猫たちはその夜、耳をそばだてて聞いていたのかもしれない。そうして、ここから離れていったのかも。
猫たちが心やさしいわけではない。つかまえた獲物をもてあそび、殺して食べもしない。そのさまを目にして私たち人間が嫌な気分になるように、人間が人間を憎しみ、殴り殺す、蹴り殺すさまに猫たちは嫌悪をおぼえたのかもしれない。
それはそうと、この場はもうない。
この写真は2年半前のものだ。
いまは、郊外にありがちなせせこましい建て売り住宅が立ち並んでいる。