これはPKDのなかでもオススメできない方だな。
シミュ
ラクラム(擬人体)をつくる話が、いつの間にか精神を病んだ
若い女に恋した主人公が、まるで伝染するかのように精神を破綻させる話にすり替わっていく。
そこに物語的なダイナミズムがあればいいのだけれど、なんとなく悲惨な印象のままに終わってしまう。
この破綻ぶりがディックらしいと言えば言えるのだけれど、そもそものシミュ
ラクラムが、
南北戦争の頃の人物であるスタントン将軍と、
リンカーン大統領ってんだから、そこ
からして辛気くさい。なぜ女にしない。ディックに萌えを期待する方が間違っているけれど、それにしても
リンカーン大統領とはあんまりだ。