夜、東京のはじっこで
夜、私の住んでいる側と反対の東京のはじっこにある上映会の会場に機材を届けにいく。
記憶をたどるとその街に行くことじたい、25年ぶりだ。
駅から徒歩10分の距離にある公共施設。一歩通行の多い道をなんとかぐるり回って、その場所にたどりつく。
階段を上ったところに会場の入口がある。上映中なので、受け付けの男性がひとりぽつんと座っているだけ。
会場のキャパシティは200人。このなかには、10人ほどの客しかいないのか、それとも200人ぎっしり埋まっているのか、それはここからではわからない。
私は受け付けの男性に用件を伝え、上映が終わるのを待つことにする。
あまりなじみのない街の、初めて来た場所、顔見知りの一人もいない場所。そこにいることは、ちょっとおぼつかないような気持ちになって、その微風的な不安感がとてもツボだ。